人・ひと・豊里
『豊里の人間国宝』第12号
豊里の人間国宝 第12号
洗堰の鮭漁50年、鮭獲り名人
武山辰雄さん(鴇波行政区)
今回紹介する『豊里の人間国宝』は、洗堰の鮭漁50年、鮭獲り名人の武山辰雄さんです。
竹山辰雄さんは昭和7年生まれの85歳ですが、鮭漁の時季には毎日鴇波の洗堰に向かい、叉手網(さであみ)という大きな網を使って、鮭を獲っておられます。そのお元気な姿は、とても85歳には見えません。
鮭漁歴は50年になり、その間ずっと、河川環境の保全活動と鮭育種のために、川を遡上する鮭を採捕する仕事を続けて来られました。鮭の採捕には、県知事の特別な許可が必要で、武山さんは、その数少ない免許保持者の一人です。
鮭は生まれ育った川へ帰る性質がありますが、河川改修やダム建設など周辺環境が大きく変化し、鮭を守り育てていくには「人工ふ化放流」が不可欠です。武山さんの仕事は、その第一段階の遡上する鮭の採捕で、熟練の技を駆使します。
採捕された鮭は、ふ化場に運ばれ、採卵後、受精卵を作り、約2ヶ月かけてふ化させ、さらに一ヶ月ほど育てて放流します。11月7日には、豊里小・中学校5年生の児童54名が、鴇波洗堰で行われる鮭の捕獲と、東和町米谷の大嶺ふ化場の採卵を見学しました。児童たちは、毎年2月に鮭の稚魚の放流体験を行い、自然と命の大切さを学んでいますが、そこでも、武山さんが叉手網を使い、鮭を獲る伝統の漁法で、熟練の技を見せてくださいました。実際に漁を見た子どもたちからは、一度に数匹もすくい取る名人芸に「すごい!」と歓声があがりました。その時の様子は、12月1日発行の「公民館だより12月号」に詳しく掲載されます。